【子どものための最高の自閉症絵本】②
- hyggeinfo
- 2023年2月28日
- 読了時間: 5分
2023/02/28
By Daniel Share-Strom
Illustrated by Naghmeh Afshinjah

2.「ねぇ、一緒に遊びたい?」
~自閉症の子と友達になる~
作:ダニエル・シェアストロム
絵:ナグメ・アフシンジャ

こんにちは、私はジェイミー!
今日 友達のキャロラインと学校が終わってから ブランコに乗ったの。
キャロラインと一緒に乗りたかったんだけど、誰かがもう1つのブランコに乗っていたの。
私は 自分の番を待つのに飽きちゃって、1人で砂場に行ったの。
そしたら、誰か初めて会う子がそこにいた。

その男の子は車で遊んでいた。
私、車だ~いすき!
だけど、私がするような遊び方はしていなかった。
私みたいに「ブルルン、ブル~ン」って車のエンジンをふかせて遊ぶ代わりに、彼は砂場にすんご~く長い車の列を作っていた!
私は「ねぇ、一緒に遊びたい?」って聞いてみた。
彼は何も答えない。
「ね・・・ねぇ、一緒に遊びたい?」
彼は私の方を見向きもしなかった。
・・・どうしてなのかなぁ?

私には全然 理解できなかった。
だから、私はブランコの方に戻った。
「キャロライン、あの男の子ってだぁれ?」
『ディランだよ。私のお母さんは〚ディランは自閉症か自閉症スペクトラムか何かだ〛って言ってたよ。』とキャロラインは言った。
「自閉症って何?」
『分からない。たぶん 他の子とは遊ばないってことじゃないかなぁ』
"えぇ?!でも彼って車が好きみたいだし・・・
私も車が好きだし・・・
それって、つまり私達 友達になれるってことじゃないのかなぁ、そうでしょう?"
って私は思ったの。

砂場に戻った時、ディランは彼の車を まだ並べ続けていた。
私は自分の黄色いトラックを取り出して、
「これ、私のお気に入りのトラックなんだ!
ねぇ、一緒に遊びたい?」
って聞いたけど、ディランは こっちを見てもくれなかった。
ええ? なんでだ?

たぶん、ディランは いくつかのゲームを知らないんじゃないかな?
私は小枝を使って高速道路を作ってみた。
「二人で交通渋滞を作れるよ!
ねぇ、一緒に遊びたい?」
高速道路の上をドライブする代わりに、ディランは彼の車たちを そこから除けてしまった。

もしかしたら、ディランの車には運転手が必要なのかもしれない!!
私は 小さな人形たちをディランの車に乗せてあげた。
「ほら、これで みんな(お人形さんたち)が 運転出来るよ。
ねぇ、一緒に遊びたい?」と私は聞いてみた。
そしたら、ディランは 顔をしかめて、車から人形たちを取り除いて、2つ目の列を作り始めた。
う~ん、どうして ディランは私と車で遊んでくれないんだろう・・・

そうしているうちに、キャロラインの横のブランコが空いたので、キャロラインの所に行った。
『ねぇ、ブランコ押してくれる?』って キャロラインが聞いてきた。
ブランコを押してあげると、『ねぇ、ディランは あなたと遊ばなかったんでしょ?』ってキャロラインが言った。
「そうなの。私のお気に入りの黄色のトラックを見せても、高速道路を作っても、運転手を渡しても、全~然 私と遊んでくれなかった。」と 私が言うと、
『ディランは誰とも遊ばないよ』とキャロラインは言った。
その言葉で 私は 少し悲しくなっちゃった。

キャロラインのブランコは高くなって、私もブランコに乗って ゆっくり漕ぎ始めた。
そしたら、キャロラインが不意に、
『ところでジェイミー、私 、ブランコを あなたに押してもらうのも好きだけどね。
あなたが隣で 一緒にブランコしているのも、好きなんだよね~』と言ったんだ。
私も 大きく漕いで、砂場のディランの方を見た。
「だよね! 時には 隣にいるだけで良いんだよね・・・」
私たちは 静かに揺れていた。

“そ、それだ !! ”
私は ブランコから飛び降りて、砂場に向かった。
『ちょっとぉ! どこに行くの?』キャロラインが叫んだ。
ママが もうすぐ迎えに来ることは分かってたんだけど、アイデアが浮かんじゃったの!
私は ディランの横に座った。
ディランは 2つ目の車の列を 完成させようとしていた。
私は 大好きなイエロートラックで 「ブーン」とディランの近くでやってみた。
ディランは 車を並べてる。
うん、それで良い!
次に 私は、イエロートラックで 小枝で作った高速道路の上を運転してみた。
ディランは もっと車を並べてる。
うん、それも良いの!
次に 私は、小さい人形をイエロートラックに乗せて運転した。
ディランはもっと も~っと車を並べてる。
これって、なんだか 楽しい!
次に 私は・・・

『ジェイミー』
門の所で ママが呼んだから、私は駆けてって、ママにハグした。
『ねぇ、すてきなジェイミー、
一緒に遊んでいた あの男の子はだぁれ?』とママが聞いた。
私は砂場に振り返った。
ディランの車はあるのに、ディランがいない!
「あぁ~。 一緒に遊んでもらうことが 出来なかった・・・」

ママと車の方に歩いて行って、私は 鞄の中に入れたはずの イエロートラックに手を伸ばした。
あれ?イエロートラックがない!
砂場にもない!
私が泣いていたら、なんだか少し シャツを引っぱられた気がした。
引っぱられた方を見ると、ディランがいて、何かを差し出してきた。

あ!私のトラック!
わぁ!ディランが見つけてくれた!
「ありがとう!!」
私がトラックをもらうと、ディランは私の方を見ていた。
「ね・・・・ねぇ、
い・・・いっ・・・
一緒に遊びたい?」
ディランは何も言わなかった。
ママと私は、帰ることにした。
そしたら、また 少し引っ張られた気がした。
振り向いたら、ディランが初めて 私に つぶやいてくれた。
『うん』って。

<The END・おしまい>
[興味 深かったところ]
①迎えに来たママが黒人だったところ
子どもは黒人ではなく赤い毛髪なので、例えば お父さんがスペイン系であるとか、それか養子である可能性があり、それを説明なしでサラッと描くところがステキ!
②自閉症か自閉症スペクトラムと2つのパターンで言っているところ
自閉症と 自閉症スペクトラムが分けられているところは、日本でも同じな気がした。
広義の場合に自閉症スペクトラムということなのだろうか。
ここは前から詳しく知りたいなと思っているので、訳したり 自閉症本人の本を読んで少しずつ知っていきたいと思う。
(出来れば専門家ではなく、本人の本で知っていきたい)
➂親が子どもを「sweetie」と呼ぶところ
「かわいい人」「いとしい人」などの意味がある。
「愚女」「愚息」とか、日本の自分の子をへりくだる文化とは真逆で素敵だと思います。
こういうことが子どもの自尊心に深く影響を及ぼしそう。
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