【子どものための最高の自閉症絵本】④
- hyggeinfo
- 2023年3月1日
- 読了時間: 4分
2023/03/02
By Zetta Elliott
Illustrated by Purple Wong

4.ベニーはハグされるのが好きじゃない
作:ゼッタ・エリオット
絵:パープル・ウォン

ベニーは、ポッポッ と音を鳴らしながら 線路を渡っていく電車が 好きです。

ベニーは、おやつに 種なし葡萄を 食べるのが 好きです。

ベニーは、ミッコとザックみたいに 静かな子どもたちと遊びます。

でも、ベニーはハグされることが 好きではありません。

ベニーは カラースプレー(スプリンクルズ)で覆われていないカップケーキが 好きです。

ベニーは しわがない服を 着るのが 好きです。

ベニーは1番大きな星の名前を言えるし、どうして 星がキラキラ瞬く(またたく)のか知っています。

だけど、ベニーはハグされることが 好きではありません。

時々、ベニーは 部屋が騒がしいと 叫んでしまいます。

時々、ベニーは 知らない人が大勢いる中にいくと くるくる回って 行ってしまいます。

私が冗談を言っても、ベニーはいつも笑いません。

たまに ベニーは こだわることがあります。
every once in a while たまに

だけど、ベニーは 私の一番の友達で、私は 彼のことが とっても好きなんです。

ベニーにとって必要なやりかたの時には、私は 気に留めないようにしています。
not give ~ a second thought ~を気に留めない

だって 本当の友達は お互いをありのままで 受け入れるものだから。

そして、違うということは、私たちを 雪の結晶や 星みたいに ユニークな存在にしてくれることだ と思うんだ!!
<おしまい>
<作者による あとがき>

私は 自閉症でも、自閉症スペクトラムの専門家でもありません。
私が この絵本を書いたのは、2人の友達に自閉症の息子がいるからです。
また、私は常日頃(つねひごろ) 包括的な(すべてを含めた)本を書こうと努力しているのですが、【ニューロ ダイバーシティを表現する物語がないこと】に気づいたからなのです。
(加筆 ※ニューロ ダイバーシティ(Neurodiversity)とは、ASD(自閉症スペクトラム)やADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)など、発達障害を 神経や脳の違いによる「個性」だとする概念のこと。)
その友達たちは 黒人です。
黒人の男の子を 懲らしめる社会があるなかで、自閉症という さらなる困難に直面している子どもたちのために、友達たちが 根気強い精神力で活動している姿に 私は驚嘆いたしました。
すべての子どもが、現実の物語の主人公に値します。
ニューロ ダイバーシティのような【違いを祝う】という価値観の物語の中心に、黒人の男の子を持ってきたいと、私は考えました。

私は 自分自身をHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン:とても繊細な人)だと思っているのですが、子どものころは 感性が高まるとはどういうことだろうと よく考えていました。
私が そのことを アスペルガー症候群である友達に話したら、「ベニーの視点から物語を語ることを考えなさい」と促してくれました。
(加筆:アスペルガー症候群とは、「自閉症スペクトラム」に分類され、臨機応変に人と接することが苦手で、自分の関心・やり方・ペースの維持を最優先する。
【大人の発達障害】とも言われる。
見方を変えれば「どんなときも自分のペースを守り、コツコツがんばり続けること」ができる人である。)
多くの自閉症児を扱ったフィクション本は、家族や友達の視点で語られており、私のこの絵本もそうなってしまっているのではないかと心配しています。
しかし、ドロシーがこの絵本を読んで、「ベニーに友達を作ってくれてありがとう」と感謝してくれた時には、私は励まされました。
自閉症スペクトラムの 子ども達の様々な経験を、1冊の本で代表して(モデリングして)書いていますが、ベニーと友達が 読者に【思いやり】と【理解】を示すモデルに なってくれたら良いな と願っています。

別の友達のデビー・リースは、 経験したことを 共有してくれたり、私に ノウハウを教えてくれました。ありがとう。
また私の絵本には ネイティブ・アメリカンの子ども達が 描かれていないことを 指摘してくれました。
彼女は、ネイティブ・アメリカンのロゴの入った服を 子どもに着せることで、先住民のアイデンティティーを示すことを 提案してくれました。
そして 私は、私のイラストレーターに 男の子のTシャツに スーパーインディアンを再現するように依頼し、デビーに紹介してもらった後には、この絵本のクリエーターは私に許可を与えてくださいました。
また、アリゴン・スターさんには、スーパーヒーローの画像を掲載することを許可していただき、感謝しています。
アリゴンスターさんのスーパーヒーローの冒険もぜひ読んでくださいね。
⇊アリゴンスターさんとコミック・スーパーインディアン
(Tulsa Worldというサイトから抜粋しました)


香港を拠点にする、類まれなるイラストの才能の持ち主:パープル・ウォンとは 今作で15作目になります。
黒人の子ども達をとても美しく描いてくれ、また世界の多様性を反映した本を作るために 絵を描いてくれた彼女に 感謝を申し上げたい。
Comments