大切な人を支えるために出来ること⑩ 2022/06/07
- hyggeinfo
- 2022年6月7日
- 読了時間: 8分
更新日:2022年6月7日
本当のリーフレットには絵や写真は一切ありません。未(わたし)が勝手に挿絵しています。
近親者(家族、パートナー、友達)の中には、性的暴行に対して非常に激しい反応を示す人もいます。
身体的(体の不調)、心理的(心の不調)反応も よく見られます。
性的暴行・性的虐待を知った後の数分~数時間は、通常、大きな不安に苛まれます。
多くの人が、性的暴行・性的虐待の事実を知ってから、確信がもてるまでの時間が 特に厳しい状況になっています。
レイプ・クライシス・センター等に訪れるかたでは、次のようなことを考えるかたが多いです。
・被害者にはどんな検査が必要なのだろうか
・被害者はどんな思いをしているだろうか
・性的暴行・性的虐待が被害者に将来どのような影響を与えるだろうか
センターに来られるかたは、圧倒的にこれらを考える人が多いです。
被害者の対処しながらこのような懸念に対処することは難しいかもしれません。
しかしながら、後で自分の気持ちを落ち着かせられる時間がきっと出来ますから、困難に感じる状況でも頑張ってみてください。
<近親者のための、アドバイスやガイダンス(援助・指導)>
ほとんどの近親者が 友人や家族のサポートを必要としています。
多くのかたが専門家によるアドバイスやガイダンス(援助・指導)を必要としています。
たとえば、以下のサポートが求められています。
・性的暴行・性的虐待についての考えを整理する
・どうしたら被害者にベストな支援が出来るのか考える
・性的暴行・性的虐待に対する あなた自身の心理反応についての サポートが必要
レイプ被害者センターは、近親者のかたにも 相談やガイダンス(援助・指導)を行っています。
あなた自身のことも大切にすることが、ベストのサポートに繋がります。

<近親者が危機的状況に陥ることがある>
性的暴行・性的虐待の後、近親者の中には自分自身が被害にあったような心理反応を経験をする人がいます。
被害者と近親者には、危機反応と思考に多くの類似点があります。
実際、半数以上の親族が、PTSD(心的外傷後ストレス障害)のいくつかの症状を示すほどの影響を受けています。
このことから分かるように、近親者自身が危機に陥っているのです。
このような状態(PTSDの症状が現れている状態等)では、当然、被害者の支援をすることは困難になります。
ここに書かれている知識があれば、支援者自身が本当に困難な状況にあることをよりよく理解し、状況を受け入れることができると思います。
また、自分が必要だと感じたときに、自分で専門家の助けを求められるようになるかもしれません。
<サポート側(近親者)の精神的な危機反応 >
暴力的な突然の出来事に対して、さまざまな心理的な反応が起こり、(人によってその反応は異なるのですが) 典型的なものをあげます。
・性的暴行にたいして侵入的に考えが押し寄せ、反復的に繰り返される。
・睡眠障害や頭痛などの身体的反応が起こる。
・集中力の問題が起こる。たとえば、仕事や日常業務に集中できない。
・イライラしたり、怒りやすくなる。
・罪悪感や自責の念に駆られる。
・悲観・深い悲しみに襲われる。
典型的な思考や反応について、よく詳しく説明します。
<侵入的な考えについて>
多くの近親者は、性的暴行・性的虐待の間に何が起こったかについて侵入的な考えに(考えようとせずに浮かんできたり、反復する考えに)悩まされています。

たとえば、自分の思考が昔の映画フィルムのように、グルグル回っているように感じられるかもしれません。
何のトリガー(きっかけ)で これらの想像や思考に至るかは、そのかたによります。
また、これらの考えをどう処理をすれば良いのかということも、その人によって変わるので、これが正解というものはありません。
性的暴行・性的虐待の詳細を聞くことが、有益な場合があります。
想像した被害の方が、実際に行われたことよりも酷い場合、実際の被害を聞くことで、あれこれ想像する時間を減らすことが出来ます。
(加筆:{強要はできないので、被害者が話したい場合に限りますが}想像よりも、実際の事件の方が酷い場合でも、想像する時間は減らせるような気がします。・・・ただ、その代わりに 実際の事件を想像する時間が増えるような気がしますが)
また、近親者が性的暴行の詳細を知ることを恐れることがありますが、それは 事件の詳細が 更なる思考の侵入・反復を生んでしまうことを恐れているためだと考えられます。
このようなことから、性的暴行・性的虐待について話すことに相反する感情があるのは(知りたいような知りたくないような という相反する 曖昧な感情があるのは)当然のことなのです。
また その一方で、被害者が性的暴行・性的虐待について話したいと思っているなら、受け入れてあげたいと思うかもしれません。
近親者のかたによっては、性的暴行・性的虐待があまりにも暴力的で受け入れがたい程 苦痛であるために、被害者を助けたり支援する力を見出すことが困難な場合もあります。

[友達 カリーナの言葉]
数週間、未(わたし)は仕事が出来ないでいたり、精神的に 参ってしまいました。

<集中力の問題>
ケアラー(介助者)として、仕事、勉強、その他 集中力が必要なことをこなすことが困難になることを、予め覚悟しておく必要があります。
大切な人が性暴力に遭う前と同じようには、日課に対処できないようになることを 覚悟しておいてください。
ケアラー(介助者)の中には、被害前と比べて、自分の仕事は重要ではなく、意味がないと感じる人もいます。
家から離れることが救いだと感じる人もいます。
性的暴行・性的虐待の事件そのものと、それによる被害者の心理反応の大きさに圧倒され、(最初の数時間かもしれませんが、)仕事に行き、他の事に集中することが良い場合もあります。
<身体的反応>

前述したように、衝撃的な体験をした場合、被害者に身体的な反応が非常によく見られますが、身体的な反応は、近親者にも見られます。
最初の身体的反応は、最初に 事件を知ったショック期間に 起こるかもしれません。
また、最初の数日間は、事件を思い出すと、身体的な反応(さまざまな体の不調)があるかもしれません。
症状としては、心拍数の増加、震え、めまいがあります。
その他の身体的な反応は、以下のようなものです。
・睡眠障害
・体の不快感や緊張(こわばり)
・頭痛や胃痛
・吐き気
場合によっては、身体的な症状が長期にわたって続くこともあります。

<被害者を信じることが難しい・被害者への疑念・疑惑>
被害者が本当に性的暴行・性的虐待の事件すべてを話してくれたか 疑問に思うことがあります。
被害者と加害者が顔見知りであったり、2人がバーでお酒を飲んでいた場合、被害者のほうが何かを仕組んでいるのではないかという考えが湧き上がってくることがあります。

"レイプの前に何かあったのではないか?"とか、"被害者はイチャイチャしていたのではないか?"
と考えることは間違っている、もしくは禁止された考えだと、あなた自身が認識しているために、自分の中に そんな考えが湧き上がってくることを後ろめたく感じるかもしれません。
<大切なこと!>
性的暴行・性的虐待のいきさつや、本当にレイプが起こったのか疑うことは、すべての被害者にとって、信じられないほどの苦痛を与えます。
だから、もし仮にそのような考えが浮かんだとしても被害者に話すべきではありません。
近親者からの そのような疑念・疑惑は、被害者の心理反応(PTSD・トラウマなど)をより重たくさせてしまう可能性が高いからです。
そのような疑念・疑惑を被害者本人に言うのではなく、あなた自身の信頼できる友人や、レイプクライシスセンター(レイプ被害者センター)などの専門家・カウンセラーに相談することが良いでしょう。
<自分を大切にすること>
性的暴行・性的虐待を受けた後、ケアラー(介助者)に大きな要求がなされることがあります。
そのため、かなり気を付けて、自分を大切にする必要があります。
そうでなければ、被害者の面倒をみることは出来ません。
日常生活の実用的なことは、他の人にやってもらいましょう。
ケアラー(介助者)の中には危機状態にある間、エネルギーが余っていると感じる人もいますが、緊急な状況(危機的状況)が治まってくると、殆どの人が疲労が蓄積していることを感じます。
難しいことかもしれませんが、自分をケアする時間を見つけることが大切です。

そうしないと、被害者を支えたり助けることが出来なくなります。
どう乗り越えるかに影響がでます。
他の人から得られる援助も受け入れてください。
その性的暴行事件で、ケアラーのかた自身に影響が出ている場合、専門家の助けを求めてください。
アドバイスやガイダンスが必要なかたはレイプ被害者センターに連絡してください。
当センターでは、近親者を対象に、被害者を支援する方法と、自分自身をケアする方法についての講演をしています。
たとえば、センターのソーシャルワーカーは、近親者の中には しばらく休暇が必要なかたが出てくるので、病気休暇についてのアドバイスをしています。
リーフレットの最後に、デンマーク9か所のレイプ被害者センターの連絡先が書いてありますが、デンマークのレイプクライシスセンターに ご迷惑がかかってはいけないので、省略します。
直接 連絡したいかたは リーフレットをご覧ください。
〔リーフレット ①~⑩おしまい 〕
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