戦争は女の顔をしていない:著者アレクシェーヴェチ&ミラ・ジョヴォヴィッチ2022/03/09
- hyggeinfo
- 2022年3月9日
- 読了時間: 5分
更新日:2022年4月7日
第二次世界大戦での、ソ連の死者数は2700万人!!(人口約1億9000万人)
ソ連では、女性兵も100万人以上が従事。
日本の第二次世界大戦の死者数は、抗日戦争(日中戦争)の死者数含めて310万人(人口7163万人)。

<アレクシェーヴェチ>
ウクライナ人の母とベラルーシ人の父をもつ。
父が第二次世界大戦後に軍隊を除隊すると、ベラルーシ・ソビエト社会主義共和国に移住。
<受賞歴>
全米批評家協会賞ノンフィクション部門(2005年)
ドイツ書籍協会平和賞(2013年)
メディシス賞エッセイ部門(2013年)
ノーベル文学賞(2015年)

日本では、2020年に2巻のアニメが出版されました。


3巻が3月26日に出る!
今はウクライナの首都キエフですが、当時はソ連でした。
このアニメは1941年キエフの絵から始まります。

今日、ロシアによるウクライナ侵攻によって、キエフを知らない日本人はいないでしょう。
ちなみに、1991年に12月にはソ連は崩壊、ウクライナは独立をしています。
ソ連崩壊後、独立で生まれた国は15か国
①アゼルバイジャン②アルメニア③ウクライナ④ウズベキスタン⑤エストニア
⑥カザフスタン⑦キルギス⑧ジョージア⑨タジキスタン⑩トルクメニスタン
⑪ベラルーシ⑫モルドバ⑬ラトビア⑭リトアニア⑮ロシア
<戦争は女の顔をしていない>
第2次世界大戦で女性が直接軍事行動に参加した国は、世界で旧ソ連だけでした。
この本では、一般的には女性が参戦していなかった時代に、女性が急に兵士になった場合の大変さが載っていました。
例えば、生理について、男性の指揮官の理解がないので、生理用品などあるはずもなく、着ている戦闘服が血を吸っていき、ズボンがガラスの破片のようになり、それを着ながら行進しなければいけなかった。


急に銃弾が降ってきたとき、男性は緊急避難で逃げるのですが、女性兵は緊急避難時、ここぞとばかり銃弾が降ってくるなか、海や川の中に入っていきました。
それほど、生理の血を洗い流したり、そのガラスのようなズボンの状態を改善したかったとのこと。

若い男性指揮官よりは、年配の男性指揮官の方が生理に対しての認知度があり、布を少し分けてくれたとありました。


また、国を守るために志願したにもかかわらず、女性兵士はソ連の一般女性からも野蛮だと蔑(さげす)まれました。
男性兵士と戦地で恋愛関係になっても、自国に戻ると、男性兵士からは「女らしい(※あくまで、刷り込まれた女らしさ)優しい女性が良い」と言われ、妊娠していても捨てられることが多かったようです。
スナイパー(狙撃兵)として腕が一品で表彰を受けた女性兵のことも載っていました。


本書のときもそうですが、ウクライナの女性兵士の件で、未(わたし)も含め世界中の女性が、自分ならどうするのか(選択肢がない場合も多いですが)を切実に考えさせられています。
ちなみに、未(わたし)が23歳頃に読んだ<東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ– 2004/11/11遥 洋子 著(遙洋子そじんの他の本だったかもしれません)> では、世界のフェミニストの今の最大の関心事は女性兵士問題だとありました。納得です。


今日3月9日に投稿された、ウクライナの高齢女性の写真。
今日時点でウクライナ人女性3万人以上が戦闘に参加しているとのこと。

<ミラ・ジョヴォヴィッチ(ウクライナ、ロシアどちらにもルーツあり)>

ウクライナ・ソビエト社会主義共和国の首都キエフに生まれる。
母親はウクライナ生まれで、ロシア俳優のガリーナ・ジョヴォヴィチ、父親はコソヴォ出身のセルビア人医師ボギチ・ジョヴォヴィチ。
キエフからロンドン、モスクワ、5歳でロサンゼルスに移住。
移住後に両親は離婚。母親と暮らす。
2022年2月26日、ミラ・ジョヴォヴィッチはインスタグラムに投稿。

<ミラ・ジョヴォヴィッチのインスタグラムの翻訳>
I am heartbroken and dumbstruck trying to process the events of this week in my birthplace of Ukraine.
今週、未(わたし)の生まれ故郷ウクライナで起きた出来事に、心を痛め、茫然(ぼうぜん)としながらも、何が起きているのか理解しようと努めています。
My country and people being bombed. Friends and family in hiding. My blood and my roots come from both Russia and Ukraine.
未(わたし)の国・ウクライナと国民が空爆されています。
友人や家族は身を隠しています。
未(わたし)は、ロシアとウクライナの両方のルーツをもっているのです。
I am torn in two as I watch the horror unfolding, the country being destroyed, families being displaced, their whole life lying in charred fragments around them.
国が破壊され、人々は家族や家を失い、人々の全人生が炭(灰)となり破片となって周りに転がっています。
その恐ろしい光景を見て、未(わたし)の心は2つに引き裂かれています。
I remember the war in my father’s homeland of former Yugoslavia and the stories my family tells of the trauma and terror they experienced. War.
父の故郷である旧ユーゴスラビアでの戦争や、家族が未(わたし)に話してくれたトラウマや恐怖の話を思い出します。・・・戦争。
Always war. Leaders who cannot bring peace.
The never ending juggernaut of imperialism.
And always, the people pay in bloodshed and tears.
いつもいつも戦争。。。
平和をもたらすことのできない指導者たち。
帝国主義という終わりのない巨大な力。
そしていつもいつも、人々は血と涙の代償を払っている。
<アレクシェーヴェチ・原書の出版順(主要著書のみ)>
①У ВОЙНЫ НЕ ЖЕНСКОЕ ЛИЦО (1984) - 日本語訳『戦争は女の顔をしていない』(日本での出版2008)


②ПОСЛЕДНИЕ СВИДЕТЕЛИ『最後の生き証人』 (1985) - 日本語訳『ボタン穴から見た戦争』(日本での出版2000年)


③ЦИНКОВЫЕ МАЛЬЧИКИ『亜鉛の少年たち』 (1991) - 日本語訳『アフガン帰還兵の証言』(日本での出版1995年)


④ Зачарованные смертью(1994) - 日本語訳『死に魅入られた人びと―ソ連崩壊と自殺者の記録』(日本での出版2005年)


⑤ЧЕРНОБЫЛЬСКАЯ МОЛИТВА. ХРОНИКА БУДУЩЕГО (1997)日本語訳『チェルノブイリの祈り』(日本での出版1998年と2011年)



⑥Время секонд хэнд (2013) - 日本語訳『セカンドハンドの時代 「赤い国」を生きた人びと』(日本での出版2016年)


今後、スヴェトラーナ・アレクシェーヴェチの他の本を 読めたらと思います。
ユニセフのウクライナ支援に2度募金しました<m(__)m>
Comments