買春は犯罪だが、売春は被害者である。
- hyggeinfo
- 2021年12月21日
- 読了時間: 8分
更新日:2022年2月27日
2022/12/21
買春をする男性は取り締まらず、売春をする女性を捕まえる国。
(もちろん女性も警官として働いてはいるが)警察権力は男性社会の代物(しろもの)である。
裁判所もしかり。
一度男性社会の代物であったものを、女性が働きはじめたら 変わると考えるのは甘い。
政治を見てみよう。
女性も法律上は総理大臣になれるはずだが、クオーター制やパリテ法のようなことをしないと、女性が総理には なれないと思った方が良い。
日本は女性議員比率も異常に少ない。
平等と法律で謡っても、大きく制度を作らないと女性の生きやすさなど訪れないのだ。

【イラストで学ぶジェンダーのはなし 著・アイリス・ゴットリーブ(2021年)】という本に【「セックスワーク」はよくない言葉ではない】という項目がある。

未には そうは思えない。(セックスワークは他の仕事と同じく認められるべきであると言う意味なら、未にはそうは思えないという意味です)
※この本では他の本の記述を紹介しているだけで、「セックスワーカーという言葉は、その言葉が無ければ皆で考える言葉がない」と言っているだけかもしれません。
本当に良い本で、イラストで気軽に学ぶと言う視点も素晴らしく、ジェンダーについて一から沢山のことを教えてくれるおススメ本です。
【あらゆる加齢は平等に出来ていない】という項目では、未(わたし)自身の愚かな考えを正してくれた。
未には、全ジェンダーが加齢で差別を受けているという視点が欠落していた。
人は年をとる度にそれだけで尊敬に値するという当たり前のことを再認識することが出来ました。
10代までは、そう思っていたのに、20歳以降は女性の加齢が進むにつれ、価値がないものだと思い込まされる文化であるために、男性であっても定年後は価値のないものだとされがちなことを軽視していました。情けないです。
未(わたし)は加齢問題で、女性のみに焦点を当て過ぎていた様です。
セックスワークについて、どの仕事(もちろんセックスワークも)をしていても、蔑まれるべきではないということは、心から その通りだと思っています。
違うと思う所は、この職業に関しては他の職業と違い、本人の意志であっても、被害者であると未(わたし)は思っている所です。
未(わたし)は昔、【近親かんについて、娘が父親を好きになった場合は性虐待と言えるのか】を考えていた時、「どのような形でも、その娘の被害は重い」ということに、自分の考えがしっくりきました。
性虐待なのに、娘が「父親が好き」と思う時、それほど被害は重い のだと。
親子間の性行為は恋愛ではなく、被害と断定して良い と未(わたし)は考えています。
<※『近親かん』という言葉について>
➀近親相姦(お互いの意味の「相対する」ではない)→➁近親姦(この「姦」という漢字は女性差別である、そして、女性以外の被害者を認めない漢字である)→➂近親かん(ひらがなにしたから、この「姦」という漢字が脳裏から消されるわけではない)→④そのため、新しい言葉を生む必要があるが、今は作れていませんので、仕方なく「近親かん」と書いています。
それと似ていると思う。
体を売ることが喜びだと思ったり、天職だと思うことは、それだけ被害が重いという事。
親や付き合っている相手に洗脳されることもあります。
体を売ることが自分の命を支えることに繋がるのは、それだけ貧困だという事です。
日本では圧倒的に女性が体を売っています。
これは貧困の問題であって、自分の天職とか、性行為が好きだからではないと考えます。
「性行為が好きだから働いている」というセックスワーカーの女性当事者の言葉は、買春加害者である“お客様”が傷つくことを少なくさせ、次にもう一度 お客として来させる手段としても使われていると思うのです。
たとえ、性行為が好きであっても、女性が体を売らずに生きられることが必要なはずです。
好きなだけなら、貧困でないのなら、他の仕事につけるのなら、他の仕事の方が圧倒的に金銭的安定が得られるのなら、精神疾患・ハンディキャップなどで働けない状態でないのなら、他の仕事で良いはずです。
例えば、毎月100万円 国からもらえて、それでも好きで体を売るのなら、「好きでセックスワーカーをしています」と言うのは納得しますが、そういうことでない今のままでは到底納得できません。
性行為をお金にする行動・自分を売るという行動は、弱者である人間の尊厳を傷つけています。
セックスワークの仕事をしていない多くの女性・多くの女の子も深く傷つけています。
少なくともセックスワークで働いたことのない未(わたし)ですが、【幼いころに女性が体を売る仕事がある】と知ってから、今も猶、大きく傷ついています。
「俺は買ったことがないから」と自分は加害者ではないという男性も多いですが、そういう話では ありません。
買春をしたことのない男性が、他の男性や、この国の家父長制に対して、「買春はダメだ。女性の貧困をまず無くそう」と発言・行動をしないといけないと思うのです。
どうして、家父長制の被害者側の女性にこのような運動を任せ続けられるのですか?
その行動なしに生きられる生き方が、加害者たる証拠なのです。
売春問題を人任せにして、死ぬまで生きられることが加害者なのだと気づかなくてはなりません。
多くの女性が貧困にあっていることは、疑いのないことであり、誰が傷つけているのかと言うと、従事している女性ではなくこの状態を容認している男性優位社会です。
体を売ることは犯罪ではなく、個人の権利でもなく、被害なのです。
まずは貧困から女性を救うことが必要なのです。
一生を10回くらい生きられる莫大な蓄えがあるのなら、敢えて体を売る仕事は選ばず、ゆっくり余生を過ごすか、本当にしたい仕事をするでしょう。
フィンランドの首相サンナ・マリンは「1日6時間週休3日が理想」と運輸大臣だった2019年に発言しています。
実は、ニュージーランドでは、既に週休3日制度が段階的に導入されています。
マイクロソフト、ZOZOTOWNなどは1日6時間勤務を導入しています。
【1日6時間で週休3日が正社員】という事なら、家族でも、子どもがいない2人でも6時間ずつ働いて、長い人生を ゆったりと落ち着いて生きていける気がします。
シングルマザーでも、【1日6時間で週休3日が正社員】なら生きやすいですし、それでも貧困の場合は国が支援すればよいと思います。
仮に全性別が同じ雇用人数・同賃金であれば、殊更に女性ばかりが体を売ることはなかったでしょう。
セックスワーカーの方自身が「自分を売ると決めるのは自分の意志だ」という事が多いですが、少なくとも女性と男性が同じ人数くらい売っている状況を作ってからでなければ、その意味にならないのではないかと思います。
(平成26年の売春関係事犯検挙件数の要保護女子総数のうち、未成年女性の割合は37.6%です。)
2018年のサイトで、日本人の20代の女性の20人に一人が風俗嬢くらいの計算になるとありました。
『デリヘルの経済学(2007)著・モリコウスケ』では5.6兆円以上が日本の風俗市場規模、『夜の経済学(2013)著・飯田泰之』では3.6兆円、『図解日本の性風俗(2016)』では2.3兆~2.7兆円と言います。
金額に差はあれど、計算すると日本の風俗嬢は30万人いると書かれていました。
都市がある都道府県では、各1万人いることになります。
⇊イギリスセックスワーカーの女性・男性比率と人数のデータ
(Gender differences amongst sex workers online{ネット上のセックスワーカーの性差}より)※日本訳はつけました。

もちろん女性の方が多くて女性差別なのですが、日本に比べてどうでしょうか。
圧倒的に差があるような気がします。
2014年のイギリス人の人口は6430万人でセックスワーカーの女性は6万人です。
2018年の日本人の人口は1億2644万人で約2倍(1.96倍)で風俗嬢は30万人です。
(⇈このイギリスのGender differences amongst sex workers onlineの2014年の記事も翻訳したいと思います)
日本でも男性も体を売ることがありますが、イギリスとは圧倒的に違いそうです。
仮に日本がイギリスと同じパーセンテージなら、日本人男性21万7000人が風俗で働いていることになりますから。
そして、イギリスでは女性も“お客様”になる金額を自分で稼げている可能性が高いという事。
しかし、仮に女性も平等に稼げるようになったとしても、人の体や性を買うのは悪いことでよいのではないでしょうか?
女性兵士問題や女性も男性を買うことが本当の平等だと思いがちですが(この問いは長い間フェミニストたちの間でも議論になってきました)、それは残念ながら違います。
戦争にしても、人の性を買うことも悪いことと諦める他ないと未(わたし)は考えます。
”今まで女性が買われた歴史分、同じことを男性にして平等だと主張したい”ですが、それは許されることではありません。
戦争をしたり、人の性を買う位なら 生まれてこなかった方が良かったぐらい愚かなことだと認識し、そんな平等は捨てるのです。
未も性欲はかなりあります。
でも、人の性を買うくらいなら、機械をつかったり、性欲のある男性に声をかけまくる方を選んだほうが良いのだ。
もちろん女性であっても、嫌がる人(未の場合は男性)と関係をもつのはレイプで、同じく許されることではありません。
セックスの途中であっても相手が嫌がれば、その時点で行為をやめなければレイプです。
パートナーや結婚相手であってもレイプです。
これは欧州では当たり前の認識です。
たとえ日本の裁判所でレイプと認められなかったとしても、レイプなのです。
そんなことも自分で考えることが出来ないでいたのならば、今までのセックスは加害者であったということなのです。
少なくとも日本女性の売春は日本の家父長制の被害者であることは間違いありません。
それを買春する日本人男性が“売春と同罪”だと捉えていたり、警察が被害者の女性のほうを取り締まっている現状はおかしいと思います。
故に(日本人女性は日本の家父長制下にいるのであるから)、売春は本人が望んでいても被害者、買春は犯罪者で全く真逆であると未(わたし)は言い切るのです。
一度でも買春をした人間は、そんな簡単なことも自分で考えることの出来ないほど、家父長制に浸かりきった加害者であると認識を改めなければならない。
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